●院長が知らないと危ない!医療現場の労務管理で起こりやすい5つの落とし穴

多忙な診療業務の中で、労務管理を“なんとなく”運用していませんか?

医療機関は専門職が集まる職場である一方、少人数の組織であることが多く、労務の問題が発生すると、現場運営に大きな支障をきたす可能性があります。今回は、クリニックで特に起こりやすい「5つの労務管理の落とし穴をご紹介します。

① 口約束で雇用条件を決めてしまう
「週に3日だけ」「扶養の範囲で」など、曖昧な条件で雇用し、後から「聞いていない」とトラブルになるケースが後を絶ちません。労働条件通知書や雇用契約書の明文化は、スタッフとクリニック双方の安心につながります。(2024年4月に施行された労働条件明示ルールの改正に伴い、労働条件通知書に記載すべき事項が追加されました。)

② 有給休暇を“与えない”運用
正社員だけでなく、一定の条件を満たしたパート職員にも有給休暇は発生します。院長の「休まれたら困る」は理由になりません。申請された有給は原則拒否できず、違反すれば労基署の是正対象にもなります。

③ 勤怠管理がアバウト
タイムカードや勤怠アプリを使わず、「手書きの紙だけ」「なんとなく9時出勤」というケースもあります。これは労働時間の立証が困難になるばかりか、残業代未払いのリスクが極めて高くなります。

④ ハラスメントの芽を見逃す
「指導のつもり」がパワハラと受け取られる時代です。職種の違いや年齢差、上下関係が強く出やすい医療現場だからこそ、ハラスメントの教育と相談体制の整備が求められます。最近では、患者様からのカスタマーハラスメントへの対応も必要となってきました。

⑤ 院長自身が“労働法”を学ぶ機会がない
勤務医から独立したばかりの院長先生ほど、「経営者としての労務知識」が不足しがちです。診療は完璧でも、労務管理で躓くとクリニックの評判や存続に関わる重大リスクとなります。


労務トラブルは、未然に防ぐことが何よりの対策です。就業規則や勤怠体制を定期的に見直すことで、安定したチームづくりと持続可能な医療提供体制につながります。経営者としての視点で、今一度足元を見直してみませんか?

担当:太期健三郎

カテゴリー: クリニックの労務管理, 労務トラブル, 労務リスクマネジメント, 就業規則   タグ: ,   この投稿のパーマリンク

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